【考察】屋久島での孤立について

  • 2019.09.24
【考察】屋久島での孤立について

はじめに

2019年5月18日、50年に一度の大雨が屋久島に降り、土砂崩れにより314名が一時孤立後、翌日に全員無事救助となりました。

自分達が行った宮之浦岳でも最終日大雨警報が発令されましたが、昼前に晴れ間を見せ何事もありませんでした。しかし、同様な事態に陥った可能性もあったのかと考えさせられ、自分達は避けることが出来たのだろうかと素人ながら考察してみました。そして今後も色々とチャレンジしていきたいので何が必要になるのかしっかりと考えてみなくてはと。

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① 比較のための状況整理

【私達】

  • 4/8まで乾燥注意報
  • 4/9 16:10 落雷と突風に関する鹿児島県(奄美地方を除く)気象情報
  • 4/10 2:48 – 4:03、7:31 – 7:42 大雨・洪水注意報
  • 4/10 4:03-7:31 大雨・洪水警報
  • 4/10 7:31 – 7:42 大雨・洪水注意報
  • 注意報が出ていた時間は約5時間
  • この間の雨量は45mm、最大19.5mm(1h)
  • 10日未明に前線通過
【孤立が起こったとき】

  • 5/17 10:55 大雨に関する鹿児島県気象情報(初回)
    • 大隅地方や種子島・屋久島地方では、18日明け方から局地的に雷を伴い非常に激しい雨が降り、19日にかけて大雨となるおそれがあります。土砂災害に警戒してください。
  • 5/17のときはほとんど雨は降っていない。
  • 5/18 10:35 – 15:25 大雨注意報
  • 5/18 14:48 – 16:01 洪水注意報
  • 5/18 15:25 – 5/20 20:35 大雨警報
  • 5/18 16:01 – 5/19 20:26 洪水警報
  • 5/19 20:26 – 5/20 5:08 洪水注意報
  • 5/20 20:35 – 5/21 3:50 大雨注意報
  • 意報が出ていた時間は約65時間
  • この間の雨量は474.5mm、最大99.5mm(1h)
  • 梅雨前線が停滞

圧倒的な差がありますね。大雨に関する気象情報が前日に出ており、当日も朝の方から大雨注意報が発表され、長期間解除されなかったことから、非常に大量の雨が降ったことがわかります。

同様の場所で撮った写真とTwitter動画との比較でも明らかです。

雨が長く降り続いてしまったことが一番の原因ですが、私たちのときは乾燥注意報が直前まで出ていたことも少しは軽くしてくれたのかな。

② 天気図からの比較

共に大雨・洪水警報が発表された日を含む天気図です。

出典:気象庁ホームページ (https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/wxchart/quickmonthly.html?show=201904、https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/wxchart/quickmonthly.html?show=201905)

【私達】

  • 4/9 西から前線が表れ始める
  • 4/9 夜間から4/10の未明にかけ前線が通過(45km/h)
【起こったとき】

  • 5/15 梅雨前線が南の海上で発生
  • 5/17 西の海上でほとんど停滞している低気圧も発生
  • 5/18 梅雨前線・低気圧ともに動きほぼなし
  • 5/19 徐々に低気圧は北上も梅雨前線の位置はほぼ変化なし
  • 5/20 梅雨前線の位置に変化はなしも前線に途切れた部分も出始める
  • 5/21 3:00 低気圧再び発生も東へ移動。梅雨前線も9時には消失

5月のものと比べると私たちの天気図は可愛らしく見えますね(;・∀・)5月のときのものは梅雨前線が常に居座った上に、低気圧も留まったことにより大雨となったようですね。私達の場合は前線がすぐに移動してくれたことにより、短時間で済んだようです。

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自分達だったらどうだったのか?

私たちは初日淀川小屋、2日目新高塚小屋、3日目荒川登山口という工程で行ってきました。

5/18に下山したと仮定すると私たちの工程では5/16に登り始めることになります。その時点では警戒情報は出ていません。ただ天気予報としては注意するように言っていた気がします。

天気予報やSCVなどで確認し決定しますが、登り始めていた可能性が高いです。なので5/16は淀川小屋まで進みます。

続いての5/17ですが、この日の10:55に警戒情報が発表されております。この時間には宮之浦岳近くまで進んでしまっています。その場所では電波が入らないため、情報が確認出来ていないことでしょう。ということで、新高塚小屋まで向かうことに。ほぼ新高塚小屋付近までくると第一展望台があり、ここでなら電波があったので、状況の把握となるかもしれません。また、新高塚小屋でなら荒川登山口や白谷雲水峡から来られた方から情報を得ることができるかもしれませんね。

問題の5/18です。12時頃まで強い雨は降っていなさそうですので恐らくは白谷雲水峡から抜けていたかもしれません。荒川登山口に向かう場合、上記の場所には14:40くらいに通過しておりますので、非常に微妙なところです。(参考:気象庁)ただ電波はチェックしながら山行はしていたので、2日目に雨雲の流れを確認し3日目の出発時間を早めた可能性は高いです。

無事に滝となった場所を通過できても荒川登山口やヤクスギランドで土砂崩れが起こっているので、ここの地点でダメでした。下山の時間に合うバスは早くて15:00からですので、土砂崩れによる通行止めにあってしまいます。また、このバス路線は大雨警報が発表されると運休になります。


結果、淀川登山口から始めた場合、自分達も同様に荒川登山口で孤立という可能性が高いことが分かりました。

対策は?

このようなことは避けられない可能性がある以上、なんらかの対策は考えなくてはならないですね。

当然前もって天気予報は確認しますが、大雨の時に通れなくなる場所が無いかの情報収集もより丁寧にしておくべきだなと。それによって出発時間やルートの変更、そもそも中止にという判断をしやすくなりますし。

また、普段からエマージェンシーシートや念の為の食糧は持っていきますが、思った以上に電波が繋がらないことによる情報の得にくさを実感しました。これを解消するにはポケッタブルラジオなどを用意することも一つなのかな。

さいごに

電波がない場合や公共交通機関がほぼ無いなどの色々な制約がある場所に行くと、万全の状態であったとしても詰んでしまうことが、今回の50年に1度の屋久島の大雨によって強く認識させられました。

何が起こるか分からないことを頭に入れ、装備の取捨選択や安全に楽しんでいくにはどうしたらいいか考え続けていきたいと思います。

拙い考察でしたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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